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お仕事で利用|stay for business

 

誰がモーテルに泊まっているの?

アメリカのモーテルってどんな人が使っているイメージをお持ちですか? 映画で観るモーテルは、凶悪犯の逃亡者が潜んでいたり、殺人鬼に追いかけらるカップルが泊まっていたりで、ロクな設定じゃないですよね (^_^;)

実際は、車で旅行する人、広範囲で営業するビジネスマンや長距離トラックドライバー、短期の住まいとして利用する人などです。大きく分けると、旅行:仕事:その他で、レジャー旅行利用者が最も多いですが、場所によってビジネス利用がメインの施設もあるようです。

さて、SPICE MOTELはどうかっていうと、開業後2年目までは旅行者、特に海外からのお客さまが多かったのですが、パンデミックの頃から沖縄県内の人たちのプチ旅行感覚の利用が増え、最近はビジネス利用での日本人客とアメリカ人ゲストが急激に増えている印象です。

SPICE MOTELをビジネス利用する

お仕事で利用される方は、近くの施設(AEONモール、沖縄アリーナ、米軍基地など)へ通う人、もしくは沖縄本島南部と北部エリアの両方へ行く必要のある方が高速道路からのアクセスが便利だという理由で滞在いただいてます。

確かにSPICE MOTELはビジネス利用に適しているのかも
・宿泊料金が経済的
・連泊の割引プランがある
・Wi-Fi 無料
・コーヒー無料
・パーキング無料

その他にも長期滞在に便利な設備(一部有償)として
・共同キッチン(電子レンジ、トースター、ポット)
・コインランドリー
・コピー機
・シェアサイクリング(敷地内)|詳細
・カーシェア|詳細
がご利用いただけます。

ホーム感覚で滞在できるモーテル

でも支持いただいている理由は物理的な設備や立地条件だけでなく、実はスタッフのフレンドリーな接客かもしれません。 制服姿の従業員がビジネスライクに応対をするホテルと違い、SPICE MOTELのスタッフはフロント係から清掃の客室係まで、沖縄らしい自然で堅苦しくないサービスを基本としています。

気分転換で客室を飛び出しカフェのカウンターで仕事する際に、スタッフと何気ない会話をするうちに居心地の良さを感じて、定宿としてリピートいていただくゲストも多いようです。

那覇にべったりな出張や仕事ではない人は、
ぜひSPICE MOTELのビジネス利用もご検討ください!

◎ビジネス利用の方が便利なプラン、
→2泊される方はこちら
→3泊以上をご予定の方はこちら

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※本記事の写真はイメージで実際とは違います

●車がない(運転できない)人も大丈夫!
モーテル(motor hotelの略)は自動車での利用が通常ですが、
車がない人も以下の方法でご利用されています。
那覇空港→高速バスでAEON MALL沖縄ライカムまで乗車
→電動シェアサイクル利用して5分ほどでSPICE MOTELへ
→滞在中はシェアサイクルとTAXIやバスを使い分ける

モーテル論 (前編)

前編 ~MOTELの歴史と建物との出会い~

text= Arts&Crafts 中谷ノボル

モーテルと聞いて何をイメージしますか? 私たちの会社ではSPICE MOTEL OKINAWAというリノベーションホテルを2015年から運営しています。今回あらためて「モーテル」について書きました。前編では、元の建物との出会いから開業まで、そして施設名称が何故ホテルではなくモーテルになったのかなどを。また後編では、SPICE MOTELが位置する沖縄本島中部という独特のエリアについてと、この先のモーテルの在り方についてを記しました。本土から沖縄を旅する人だけでなく、沖縄県内の人にも一読いただけたらうれしいです。

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モーテルの誕生とモータリゼーション   


motelという単語は、アメリカでモータリゼーションが国民に広く定着した20世紀半ば、すなはちミッドセンチュリーの時代に、マイカーやレンタカーで訪れて宿泊するという、新しい旅のスタイルを表す当時の新語で、自動車=motorと、hotelを合体させ =motelとなりました。

‘70年代にはモーテルを舞台にしたロードムービーやTVドラマが多く撮られるようになり、それらの映像を通じて日本にもモーテルという言葉が輸入されたのだと思います。本来、観光からビジネスまで様々な用途に使われるのがモーテルなのですが、どういう訳か日本ではモーテル=ラブホテルという認識が定着してしまいました。

不遇な広まり方をしてしまった日本におけるモーテルですが、もしそのイメージを覆すようなイケてるモーテルが誕生するとすれば? それはきっと沖縄なんだろうな。アメリカ文化とクルマ社会が浸透している沖縄、特に米軍基地が集中する沖縄本島の中部にはその可能性がある。かつてそう考えたことがありましたが、普段はそんなこと忘れていました。

 

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朽ち果てそうなホテルと出逢ってしまった   

2013年9月、不動産投資案件を探しているリストのひとつとして、その沖縄の中部(北中城村)で古びた売りホテルを見に行くことになります。建物はかなり傷んでおり可哀そうな状態でした。ただ、施設名称がホテルなのにキーホルダーにはMOTELと書いてあったこと、そして屋上に「自動車ホテル」という大きなネオンサインが残っていたことで、ピンと来ました。

モーテルが日本でリベンジするならこの物件じゃないの?

ホテルが建てられたのは半世紀前の1970年。沖縄がまだアメリカに統治されていた時代です。当時のオーナーは、モーテルの概念を沖縄の人に知ってもらうため「自動車ホテル」と訳し、それを屋上看板としてそのまま採用したのでしょうか。いろいろ想像しました。

「わたくしをリノベーションで再生してくれませんか」

この老朽ホテルにそう囁かれてるような気がしました。建物はボロボロだし、観光立地でもない。まだ沖縄でホテルを運営する予定もなかったし、合理的な判断ならアウトな案件でしたが、直感的にこの船には乗るべきだと縁を感じてしまいました。よし、モーテルとしての再起に付き合ってみよう。そう心に決めました。

 

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理想のモーテル像はアメリカから消えていた     

善は急げ! 本場アメリカのモーテルをいっぱい観たいと思い、サンフランシスコへ降り立ちました。レンタカーでモーテル泊の渡り鳥な旅。当初、何かと話題になっていた街ポートランドを最終地として北へ向かうつもりでしたが、モーテルという単語で画像検索すれば敷地にはパームツリーとプールが必ずある。そうだわ。沖縄のモーテル計画なんだし、ヒントとなるのは暖かい南カリフォルニアだ! ということで針路を180°変更しました。

自分の頭の中にある理想のモーテルを探すべく、ひたすら車を走らせます。しかし、イメージ通りのモノに出逢わない。そういえば米国のTVドラマ「ベイツモーテル」の物語中、新しくハイウェイができて客が奪われたという会話がありました。整備された道路沿いに大手チェーンのモーテルが建設され、趣ある個人店のモーテルがどんどん消滅してしまっているのだと気づきました。

そこで、旧い国道を走ったり、かつての人気観光地(Pismo Beach)を訪れるなどして、より自分のイメージに近いモーテルを求めて移動しました。中でもミッドセンチュリー時代の建築が数多く保存活用されている Palm Springsは、本当にカッコいい街でした。元のデザイン性が高ければ、人々は自然と家具や建物を遺そうとするんだなと実感しました。

こうして、10日間ほどの旅で得た沖縄のモーテル再生の方向性は、無理して流行りのデザインを追い求める必要はないということ。1970年に建てられたホテルが今もイケてるというようなリノベーションをしてやればいい。古いモノも新しいモノも良いものは良い。それが再確認できた渡米でした。

 

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地元クリエイターと沖縄ならではのモーテルを      

米国から帰国してモーテルの再生に着手します。意外にもデザインの始まりはベッドカバーでした。建物が建てられた1970年当時にイタリアで発刊された古いインテリア雑誌にあった一枚の写真がソースとなりました。最初にベッドカバーのイメージが固まり、そこから家具、壁面の内装や建築金物、水廻り設備機器と、細部から全体を行ったりきたりして設計を進めました。

そしていざ建築工事。この計画のために期間限定で転勤してきた20代の監督と、作りながら臨機応変に工事を進める方法を採用しました。屋上看板を再利用した「自動車」ネオンサインも当初案になかったものです。特筆すべきなのは客室の照明スイッチ。オーディオ機器用のパーツを使うなどして、地元の電気屋さんが完全オリジナルで作成してくれました。

その他にも、客室番号の個性的なフォントとウォールペイント、螺旋階段や手摺りなどアイアン製品の制作、特注カーテンや家具のインテリア、SPICE MOTELのロゴデザイン、webサイトの写真撮影やそこに登場するモデルまで、すべて沖縄の人によるプロの仕事です。そしてデザインの核となったベッドカバーは、普天間の生地屋さんで見つけたデッドストックから作りました。

 

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サータアンダギーは沖縄のドーナツだ  

開業に向けて、建築途中からホテルで働くスタッフを募集する必要があります。まだ出来上がってもいない、そして制服もないホテルのイメージが伝わるのか心配でしたが、不思議なものでフロントスタッフだけでなく客室のハウスキーパーまで、いかにもSPICEらしいルーツが多様な楽しい人材が集まってきました。

こうして、初めて建物を見た日から2年と3ヶ月、2015年の暮れにSPICE MOTEL OKINAWAがオープンします。奇しくも自分の誕生日の日付で旅館業の許可がおりました。想定した顧客層は東アジアからのカップルや女性グループでしたが、そのとおり台湾や韓国からの旅行客、そして沖縄在住のアメリカ人関係者や日本国内からのゲストが、初年度からたくさん来てくれました。

あえて客室にテレビを置かず、県内の米国人向け英語FMが流れるラジオにしました。アメリカで見たモーテルに倣い、朝はコーヒーとドーナツを無料でサービスしたいと考え、ハワイで修行したと言う近所の焙煎屋さんから豆を仕入れ、サータアンダギーを沖縄産ドーナツだと言って提供しています。

宿泊だけでなく、雑誌やブランドカタログの撮影、そしてミュージックビデオのロケ地としても数多く利用してもらいました。また、コンクリートの建物は国内でも早期に普及した沖縄ですが、リノベーションの事例が少なかったこともあり、沖縄における先進的なリノベーションホテルとして、アートアンドクラフトの本業である建築業界からも大きく注目されました。

後編へ続く

モーテル論(後編)

~SPICE MOTELを沖縄中部の文化発信拠点に!~

text= Arts&Crafts 中谷ノボル

モーテルと聞いて何をイメージしますか? 私たちの会社ではSPICE MOTEL OKINAWAというリノベーションホテルを2015年から運営しています。今回あらためて「モーテル」について書きました。前編では、元の建物との出会いから開業まで、そして施設名称が何故ホテルではなくモーテルになったのかなどを。また後編では、SPICE MOTELが位置する沖縄本島中部という独特のエリアについてと、この先のモーテルの在り方についてを記しました。本土から沖縄を旅する人だけでなく、沖縄県内の人にも一読いただけたらうれしいです。

※前編はこちら

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何を実現したくて始めたモーテルなのか  

タイミングよく沖縄に波及したインバウンドブームの波に乗り、開業後2年は予想以上に経営が順調でした。しかし2018年に政治問題で韓国からのゲストが激減、翌2019年には民泊を含めた沖縄のホテル供給が過剰となり、SPICE MOTELのゲストも徐々に減っていきます。そして2020年、今回の新型コロナウィルスの感染拡大で、沖縄のみならず世界中のホテルに急ブレーキがかかってしまいました。

2年前からモーテルの経営を見直すことをしていましたが、今回は根本的なところから経営方針を考え直す必要がありそうです。そもそも自分たちは何故モーテルを始めたのか。何が目当てだったのか。描いたモーテル像を表現できていたのか。モーテルを臨時休館している今、原点に戻りこれまでのことを思い出し、この先のことを考えました。

一般的にホテルづくりでは、その企画段階で施設のコンセプトを決めます。SPICE MOTELでも当時コンセプトづくりのためのブレインストーミングをしました。その時の記録が、手書きの付箋を模造紙に貼った形で手元に残っています。その中で、「本島中部の文化発信拠点となるホテル」という大きなテーマがあったことをあらためて噛み締めています。

 

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フテンマ ライカム コザ 地域特有のミックスカルチャー  

那覇の国際通りや北部のリゾートなどこれまでの沖縄観光のイメージとは違う文化が、ここ本島の中部にはあります。特に普天間飛行場と嘉手納基地とを結ぶエリアはこれまで観光地として紹介されることも少ない、琉米のカルチャーがミックスされた独特の地域です。多くの県民が基地のない沖縄を切望していますが、その存在ゆえこのエリアに特徴ある文化が生まれ育ったのも事実です。

食事ひとつとっても、マクドナルド日本上陸以前からあるA&W1号店、ローズガーデンやサムズカフェなど米国スタイルのダイナー、そして中米メキシコのタコス専門店や南米料理のブエノチキンなど。ダンスミュージックや日本語ラップやクラブカルチャーなど、沖縄の音楽シーンを牽引してきたのもこのエリアです。それらが地域のファッションへも大きく影響しています。

そんな中部に位置するSPICE MOTELで、「滞在中にしてほしい10のこと」というオリジナルのガイドを作り、宿泊するゲストに手渡しています。特に2度目の沖縄を旅する人には、ぜひローカルの人たちと接することで、この地域のリアルを知ってほしい。きっと有名観光地をスタンプラリーするような沖縄旅行では、決して得られない体験ができると思うのです。

 

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現在進行形のカルチャー発信  

2015年に開業したSPICE MOTELもすでに5年目を迎えています。これまで本島中部のカルチャーを発信してきたつもりでいましたが、いま思い返せば2015年時点のそれを凍結して見せていただけで、その後の変化をフォローできてなかったように思います。現実の街は5年間で変化し、日々どこかであたらしい何かが起こっています。

周辺のショップやレストランも、名店が惜しまれて閉店することもあれば、逆にこれまでなかったコンセプトのお店がオープンすることも。SPICE MOTELで働くスタッフも、アルバイト学生が巣立って海外のホテルに就職した人もいれば、自分の夢を追いかけて離職した人もいて、自分たち自身も変化していたはずなのです。

昨年12月、SPICE MOTELでガレージセールを初めて開催しました。客室のガレージをショップに見立て、地域の飲食や雑貨など10店舗が出店するというモーテルならではのイベントです。1日だけのイベントに約600名もの人が来場してくれました。いま思い返せば、まさにあの日のシーンが、このエリアのリアルだったと思うのです。こういった発信が開業後できてなかったことを反省しました。

※ガレージセール当日の様子はこちら

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行けばエリアの今がわかるモーテル

このガレージセールはスタッフ自らも心から楽しめたので、今後も不定期で開催したいと話していいます。他にもモーテルの空き時間を活用して、地域のリアルを発信してゆきたいと考えています。具体的には、今後出店を考えている沖縄の料理人たちが、カフェスペースでテスト営業するシェアキッチン計画。これが一つ目です。すでに実験的に始まってます。

二つ目が、夜間に開催するMusic Bar計画。プロアマのDJがお薦めの曲をミックスしたり、デビュー前のミュージシャンがミニライブを不定期で開催するなど、この地域で胎動するアーティストの活動スペースを創りたいと考えています。こちらもすでにハコの音響が整い、スタッフ自ら休館中に大音量でDJの練習をしています。

この原稿を書いてる最中に、緊急事態宣言が延長されました。モーテルを再開する時期も決められない状況下での希望は、沖縄県内から泊まりに来てくれる人が年々増えていたことです。「那覇から中部に遊びに来たけど、以前からこのモーテルが気になってたので、(運転)代行で帰らずに泊まることにした」という人や、「彼の誕生日にプチ旅行気分を味わいたくてSPICEに来ました」というカップルなど、当初私たちが想定しなかった利用が増えています。

観光やビジネス利用だけでないモーテルの使い方。これこそが本来のモーテルの姿なんだと思います。また、シェアキッチンやMusic Barなどをすることで、県内の人々がSPICEに集い、日々そこで何かが起こっている。そうした状況を見たいと、日本国内や海外から人々がSPICEへやってくる。そんな循環をぜひ作りたいという夢を描きました。

「あそこに行けば沖縄の今がわかる」。人々にそう言ってもらえるモーテル。そしてモーテルと聞けばSPICEを思い浮かべる。営業再開後にはスタッフみんなで、そこ目指したいと思います! 小さなホテルにできることは限られてますが、みなさん今後のSPICE MOTELにご期待ください。そしてこれからも応援よろしくお願いします。

※前編はこちら

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いつか観たロードムービーの世界へ

 

 

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